朝目覚めると、侍従が花束を差し出してきた。なにかと問えば、王妃からだという。自分が渡したものと、色違いの白。この花詞はなんだったか。ティータが好きだった。ああ、自分はなんと愚かだったのか。何故諦めて、問いただすことも弁解することもしなかったのか。彼女だってそれを待っていたに違いないのに。自分は逃げていたのだ。恐ろしくて恐ろしくて。ただ怖くてならなかったのだ。手にしたもののあまりの大きさに、虚しさに。ともすれば手に入れたのかさえ見失ってしまうそれに。不安だった。それゆえに彼女を苦しめた。卑怯な臆病者は、孤独を持て余して一人の女を不幸にした。さっさと手を離してしまえばよかったのだ。自由にしてやればよかったのだ。ひとりにするなと、他でもない自らが刺し返した傷口をふさいだのは愚かな王だった。手元において、苦しませてしまったのに。苦しいとすら言えなくさせてしまったのに。けれど差し出された花束に、視界が滲む。そうだ、思い出した。花詞を。この花に託された願いを。ああ、オヴェリア。なぜ俺をひとりにさせるんだ。





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