それは労働八号の調整を行ってた時のこと。


「あーごめんラムザ、六角取ってくんね? こりゃ時間かかりそうだ」
「ろっかくってどれー」
(なんで知らないんだ!?)
 ゴーグの子は三歳でも知ってるぞ、なんて思ったが口には出さない。
 仕方なく、顔だけ振り返る。
「あ、それそれ。ハンマーの隣にかかってるやつ。……さんきゅ」
 無事に手渡され、俺は黙々と作業を開始した。ぶっちゃけ徹夜だ。でも労働八号のメンテナンスは楽しくて仕方がない。機工士の血が騒ぐとでも言うべきか。
 不意に、今まで大人しかった八号がしゃべりだした。
「急激ナ体温上昇ヲ確認シマシタ」
「おいおい、八号。俺はさっきからいたって平熱だぞ。イカれたか?」
「脈拍増大。髄質ホルモンノ分泌を確認。タダチニ、データ照合ヲ開始シマス。…………ピッ、ピッ、ピッ。生物ノ内分泌増進ニトモナウ発情ト断定」
「はぁー? 誰が発情してるか。お前大丈夫か?」
 好き勝手に言ってる八号がいささか心配になって、俺は奴の頭を小突いてみる。すると、八号はおもむろに顔を上げた。なぜだかその無機質な瞳が笑ったように見えた。怖い。
「幸運ヲ祈リマス」
「はあ? って、うわっ、らむざぁぁぁ!?」





「六角」