意思などなく、ただ終わりの始まりを告げるという使命だけ。
自分にあったのはそれだけ。
思いがけない場所に封じ込められても、それは変わらないはずだった。
事実、変わらなかった。

でも。

無理やり居座ったはずのそこは、とても居心地が良くて。
少しずつ、彼がしみこんでくるようで。
温かく、切なく、けれども一抹の冷たさと寂しさも持っていて。


なんということだろう。
僕は、僕と相容れぬはずの「生」に触れていた。
いや、それに触れて初めて、「生」と「死」の別があることを知った。
そしてそれを、心地よいと感じるなんて。
手放すことを、耐えがたいと思うなんて。



僕は死そのもの。滅びの前兆。
懸命に生きようとする君らとは薄皮一枚隔てた場所にいながら、決して相容れない存在。

それなのに。




それなのに。
僕はまた、君の中に還れる。
君の中に残された名残を辿って、死でも何でもない僕は居場所を得る。
君がそうさせてくれた。

君は、君という世界を僕にくれる。

僕は君に還る。
他でもない君に、許されて。





「君という世界」