なぜ抵抗しないのかと、不思議そうね。 私はね、もう諦めることにしたの。逃げる力はなく、助けてくれる人もいない。だから、求められる役割をただ演じることにしたのよ。 気づいていなかったの? 私はきちんとあなたの隣にいるときは微笑んでいたでしょう。 あなたに愛妾をすすめた時だって、私は「王妃」として行動したの。微笑んでさえみせたわ。あなたは面食らっていたみたいだけど。私は王妃だもの。当然でしょう。あなたには世継ぎが必要で、だったら応えるべきというだけよ。 だからあなたの手が触れる今も、抵抗しようなんて思わないのよ。 だからあなたの髪が撫でる肌も、気にせずそのままにしておくの。 ■■■■ 理不尽だなどとは、思わないのか。 俺はまた利用してるんだ。また刺される覚悟で手を伸ばしたっていうのに、今度は抗おうともしないのか。それほどの価値もないと? やっぱり自惚れてたのか。 まだどこかで、見えないところで絆と呼べるものが残っていると。 愛などなくとも、英雄ではないと知る者に側にいて欲しかった。もしまだ殺そうとするほどの激情が残っているのなら、マシだなんて思ってさえいた。たとえ毒を盛られても受け入れようとすら。妹への誓いは、まだ胸に残っているから。 だから今まで弁解しようと考えもしなかったのに。 だから今まで触れるなどと思いもしなかったのに。 |